子どもの受け口は3歳が相談の目安|自然に治るかの考え方と様子見の期限
子どもの受け口は、奥歯がそろわないうちはあごを前に出す癖でそう見えることもあるため、乳歯が生えそろう3歳ごろまでは様子を見てかまいません。3歳を過ぎても上下の前歯の重なりが逆のままなら、自然に治るのを待ち続けず、歯科で一度見てもらう時期です。家の洗面所で見分けがつくのは歯の重なり方までで、歯の傾きによるものか骨格によるものかはレントゲンで調べないとわかりません。相談したからといって、すぐに矯正を始めるわけではありません。
受け口は下の前歯が上の前歯より前に出る噛み合わせで原因は歯の傾きか骨格です
受け口は、奥歯まで閉じたときに下の前歯が上の前歯より前に出る噛み合わせで、歯科では反対咬合や下顎前突と診断されることがあります。正常な噛み合わせでは上の前歯が下の前歯の外側にかぶさっていますが、受け口の症状ではこの上下が逆になり、下の歯が外側、上の歯が内側に入ります。見た目は同じでも、歯の傾きが原因の場合と、上下のあごの大きさや位置のバランスが原因の場合があり、どちらかによって治療の進め方が変わります。顔を横から見たときに下あごが前に出て見える様子や、ご両親や親族に同じ噛み合わせの方がいることは、歯科に伝えていただくと判断の手がかりになります。2つのタイプの違いは表1のとおりです。
| タイプ | どんな状態か | 歯科で見ていくこと |
|---|---|---|
| 歯の傾きによるもの | 上の前歯が内側へ、下の前歯が外側へ傾いて生えている | 前歯の傾きと噛み合わせの変化 |
| 骨格によるもの | 下顎が大きい、または上顎が小さく、前後の位置がずれている | あごの骨の成長を、見通しが立つまで追っていく |
健診で指摘されたときは、何本の歯が逆になっているかが1つの目安になります。日本小児歯科学会が2015年に示した3歳児健診の判定基準では、前歯の連続した3本以上で上下が逆のものを反対咬合とし、3本未満なら前歯の一部が交叉している状態として分けています。学校の歯科健診では、前歯2本以上が逆であれば下顎前突として扱います。どちらも健診の目的は専門的な検査へ進むかどうかを決めることで、治療が必要だという診断とは違うので、結果のお知らせが届いても慌てず、用紙を持って歯科へお越しください。
受け口の原因には遺伝のほか舌の使い方などの癖が関係していることがあります
受け口の原因には、ご両親から受け継ぐ骨格の要因と、舌の使い方や口の癖など生まれたあとの要因があり、1人のお子さんの中で両方が重なっていることもあります。日本小児歯科学会も、お父さんやお母さんが受け口ならお子さんもそうなる可能性が大きいとして注意を呼びかけています。ただ、同じ学会は、舌を上に持ち上げるのが苦手なことが受け口と関係する場合があるとも説明しています。ですから、ご両親が受け口でないお子さんにも起こりますし、遺伝があるからといって打つ手がないわけでもありません。下のような様子が続いているかどうかを、ふだんの生活の中で見ておいてください。
歯科でお伺いする癖と様子
- 下あごを前に突き出して遊ぶ、噛み合わせをずらして閉じる
- 舌が下がっていて、上あごに持ち上げるのが苦手
- 鼻がつまりがちで、口呼吸をしている時間が長い
- 指しゃぶりや、舌を前に押し出す癖が続いている
- 頬杖をつく、うつぶせで寝るなど、あごに力がかかる習慣がある
当てはまるものがあれば、いつごろからかをメモしておくと、受診のときの説明が短くて済みます。
こうした癖に気づいたら、叱る前に、なぜ続いているのかを見てあげてください。鼻づまりで口呼吸になっている子は、口を閉じるように言われても息が苦しくて閉じられません。鼻の病気や扁桃の肥大が関係していそうなときは、当院では必要に応じて耳鼻科や言語聴覚士などと連携します。
3歳までは経過観察でよく3歳を過ぎて逆のままなら自然に治るのを待たず相談します
日本小児歯科学会の目安は、乳歯が生えそろう3歳ぐらいまで様子を見て、自然に治らないときに一度相談するというものです。小さいお子さんは奥歯が生えるまで噛み合わせの高さが定まらず、あごを前に出す癖で受け口に見えることがあり、奥歯が生えてくる時期に変わる子もいるためです。一方で、どの子が自然治癒するのかを見た目だけで見分けることはできず、自然に治る確率を一人ひとりについて言い当てることもできません。3歳以降も逆のままなら、治療を始めるかどうかは別にして、相談だけは済ませておくと、その後の経過観察も目安を持って続けられます。年齢ごとの考え方は表2のとおりです。
| 年齢 | この時期の見方 | おうちの方にしていただきたいこと |
|---|---|---|
| 1〜2歳 | 奥歯がそろう前で、あごを前に出す癖で逆に見えることがある | 定期検診で伝えておくと経過観察で足ります |
| 3〜5歳 | 乳歯が生えそろい、受け口が続くなら相談の時期 | 骨格の要因が見られる場合は早めに矯正相談へ |
| 6〜7歳 | 前歯が永久歯に生え変わり、小児矯正を始めるのに適した時期の1つ | 前歯の生え方が変わるので、生え変わりの前後に歯科で見てもらう |
| 小学校高学年〜 | あごの骨の成長で噛み合わせが変化する | 成長の見通しが立つまで経過を追い、永久歯列での治療も検討する |
当院の矯正のページでも、一般的には小学生になる6〜7歳頃が小児矯正を始めるのに適した時期とご説明していますが、受け口など噛み合わせの問題は、より早い時期の対応が必要なケースもあります。骨格に原因がある受け口が疑われる場合は、3〜4歳でもかまわないので早めに矯正相談を受けていただくようお伝えしています。乳歯のうちに前歯の重なりが変わっても、永久歯への生え変わりの時期にまた変わることがあるので、そのあとも定期検診で見ていきます。
成長の途中にある歯やあごの骨は、治療で動かしやすいと考えられています。ただ、早く始めるほどよいとは限らず、小さいお子さんでは装置を嫌がることもあるので、開始時期とタイミングは骨格の傾向とお子さんの様子を見てご相談のうえ決めます。当院が早めのご相談をお願いしている理由は、最初に発育の見通しを聞いておくと、早期に始めるメリットとデメリットを、将来的な選択肢として具体的に考えられるからです。
受け口をそのままにすると前歯で噛み切りにくく発音やあごの関節にも影響が出ることがあります
受け口を放置した場合は、前歯で食べ物を噛み切りにくい、言葉が聞き取りにくくなる、あごの関節に負担がかかるといった問題が出ることがあります。日本矯正歯科学会も、噛み合わせの乱れをそのままにしておくと、食べ物がよく噛めない、あごの関節に負担をかけるといった問題が出ると説明しており、受け口では聞き取りにくい話し方になることが多いとしています。上下の前歯が逆だと麺やハムのような薄い食べ物を前歯で噛み切れず、奥歯に頼った咀嚼になりがちです。お子さんが食事に時間がかかる、噛み切りにくい食べ物を口から出すといった様子があれば、歯科に伝えてください。
見た目の悩みが出てくる時期にも個人差があります。小学校の高学年ごろから、口元や顔立ちのことを気にしてコンプレックスになる子もいて、本人が言い出すまで保護者の方が気づかないこともあります。またあごの大きさに原因がある受け口は、成長期に骨が伸びるにつれて前後のずれが変わっていきます。表3の内容はすべてのお子さんに起こるわけではなく、悪化の程度も噛み合わせのずれの大きさによって変わります。不安なときは、いま困っていることを書き出して歯科で話していただくと、治療の必要性が整理しやすくなります。
| 場面 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 食事 | 前歯で噛み切りにくく、奥歯の負担が増える |
| 発音 | 話し方が聞き取りにくいと言われることがある |
| あご | あごの関節に負担がかかることがある |
| 成長 | 下顎の成長にともなって前後のずれが変わっていくことがある |
| 見た目 | 横顔や口元を本人が気にするようになることがある |
治療は年齢と原因で変わり幼児期は取り外しのマウスピースを就寝時に使う方法があります
子どもの受け口の治療方法は、永久歯が生える前か後か、原因が歯か骨格かで変わるため、同じ受け口でも使う装置は1人ずつ違います。幼児期には、取り外しのできるマウスピース型の装置を就寝時などに装着し、舌や口のまわりの筋肉の状態を整えていく方法があります。こうした装置は毎晩きちんと使えるかどうかで進み方が変わり、骨格のずれが大きいお子さんでは別の方法を組み合わせることもあるので、始める前に歯科医師と見通しを話しておくと後で迷いません。当院の扱いは、ご相談のときに年齢とお口の状態を見てご説明します。舌や唇の筋肉を鍛える口腔筋機能療法(MFT)のトレーニングも、筋肉の使い方へのアプローチとして当院で取り入れています。主な治療法は表4のとおりです。
| 時期の目安 | 治療法 | どんな方法か |
|---|---|---|
| 乳歯が中心の時期 | マウスピース型の装置 | 取り外しができ、就寝時などに装着して舌や筋肉の使い方を整える |
| 小学生の時期 | 上顎を前方へ牽引する装置(フェイスマスク)やチンキャップ | 骨格のずれに対し、顔に当てる装置で上下のあごの成長にはたらきかけ、上の歯列の拡大を組み合わせることもある |
| 永久歯列の時期 | ワイヤーやマウスピースを使う矯正 | 永久歯が生えそろったあとに歯並びと噛み合わせを整える |
| 成長が終わったあと | 外科手術と矯正の組み合わせ | 顎変形症と診断された場合に手術の前後で矯正を行う |
表4の中のどれを使うかは、レントゲンなどの検査で原因を調べてから決めます。当院の小児矯正では、無料相談で呼吸や飲み込み、姿勢などのクセを見て、そのあとの精密検査でパノラマレントゲンやお口とお顔の写真、唇の閉じる力の検査、歯型の採取などを行います。治療期間には個人差がありますが、2〜4年が目安で、器具の調整や歯の移動状態の確認のために定期的に通っていただきます。治療計画に同意いただけない限り治療を進めることはありません。自宅で装置を使う治療は本人の協力が結果を左右するので、お子さんが納得してから無理なく始めることが大切です。
小児矯正で知っておいていただきたいリスク
- 治療の初期段階では痛みや不快感が生じやすくなりますが、1週間程度で慣れます
- 歯の動き方には個人差があるため、予想された治療期間より延長する場合があります
- 装置の使用状況や定期的な通院など、患者さんの協力程度が治療の結果や期間に影響します
- 状況により当初予定した治療計画を変更する可能性があります
- 矯正治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります
費用は自費が基本で小児矯正は装置を合わせて50〜80万円が当院の目安です
当院では矯正のご相談は無料で、検査・診断は5,500円(税込)、小児矯正の費用の目安は装置を合わせて50〜80万円(税込)です。症例により追加費用をいただく場合があります。矯正の治療費は装置の種類やお子さんの状態で変わるため、相談のときに、どの装置を使ってどのくらいの期間になりそうかをお聞きいただいてから検討できます。分割払いができますので、一度に用意するのが難しい場合は相談のときにスタッフへお尋ねください。金額の詳しい内訳は小児矯正の費用のページでご案内しています。
矯正歯科治療は基本的に保険の対象外で、保険が使える場合は限られています。日本矯正歯科学会は、対象を次の3つと説明しています。
- 厚生労働大臣が定める疾患に起因した噛み合わせの異常
- 前歯と小臼歯の永久歯のうち3本以上が生えてこないことによる噛み合わせの異常(歯を引き出す手術が必要なもの)
- 手術が必要な顎変形症の手術前後の矯正
受け口の場合は、手術が必要な顎変形症と診断されると3つ目に当たることがあります。判断の時期はお子さんの成長によって変わります。当院は、顎変形症など保険の対象となる矯正にも対応できる施設基準を満たしています。お子さんが保険の対象になるかどうかは、年齢と検査の結果によって判断が変わるので、学校の歯科健診で指摘された場合は「健康診断の結果のお知らせ」を持ってご相談ください。
家では舌を上げる練習と食事の姿勢を見直し指摘があれば用紙を持って受診します
家でできることは、舌を上あごに持ち上げる練習と、足の裏をつけて座る食事の姿勢です。受け口の予防になると決まったものではなく、骨格そのものを変える効果も家の工夫には期待できません。舌は、何もしていないときに先が上の前歯の裏の少し奥に触れている位置が本来の場所なので、気づいたときに「べろはお山の上」などと声をかけて、その位置に戻す練習を重ねてください。食事は、足の裏を床や台につけて座るようにします。前歯でかじる食べ方が合うかどうかは噛み合わせによって変わるので、当院では食べ方や食事中の姿勢についても、お子さんの様子を見てお話ししています。頬杖やうつぶせ寝に気づいたら、その場で姿勢を直してあげる程度で十分で、強く注意する必要はありません。
家の工夫を続けながら、歯科には次のような順で相談していただくと話が早く進みます。初診は長くて1時間ほどで、歯科医院が苦手なお子さんには、器具を見て触ってもらいながら慣らしていきますので、嫌がるかもしれないという心配があっても無理に治療することはありません。費用や通院の回数など、疑問に思っていることも相談のときにお聞きください。
- 奥まで閉じたときの上下の前歯の重なりを、横から1枚写真に撮っておきます
- 親族に同じ噛み合わせの方がいるか、癖がいつからあるかをメモします
- 健診の結果の用紙があれば持参します
- 歯科で原因と治療が必要な時期を聞き、経過観察か治療かを決めます

よくあるご質問
3歳児健診で受け口と言われたらすぐ治療が必要ですか
すぐに治療が必要とは限りません。3歳児健診の結果は歯科で詳しく見る必要があるかどうかを示すものなので、原因を調べたうえで、経過観察でよいか、装置を使うかを歯科医師と決めていきます。
親が受け口でなくても歯科に相談してよいですか
ご相談いただけます。受け口には遺伝のほか、舌の使い方など生まれたあとの要因が関係している場合もあるので、ご家族に同じ噛み合わせの方がいなくても一度見ておくと、経過観察の見通しが立てやすくなります。
乳歯の受け口が治れば永久歯も大丈夫ですか
大丈夫とは言い切れません。永久歯の前歯が生えてくる時期に、噛み合わせがまた変わることがあります。生え変わりの時期から成長期までは、定期検診で噛み合わせを見ていくと、変化に早く気づけます。
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このページは、お子さんのお口の育ちについて一般的な情報をご紹介するものです。お口の状態や育ちには個人差があり、書かれていることがすべてのお子さんに当てはまるわけではありません。気になる点がありましたら、歯科医師にご相談ください。
オーク歯科クリニック(北海道釧路市昭和中央4丁目18-1 イオンモール釧路昭和店1F)


