子どもの歯ぎしりは多くが一時的|受診を考えたいサインと家での見守り方
寝ている子どもの歯ぎしりは、多くが成長の途中で起きる一時的なもので、年齢とともに自然になくなっていくことが多いです。日本小児歯科学会も、子どもの歯ぎしりは気持ちが満たされないストレスや、かみ合わせを整える動きとして起きることがあり、そのまま様子を見てよいとしています。ただし、歯が過度にすり減っている、あごを痛がる、歯並びに問題があるといったサインが重なるときは、放置せずに歯科で一度お口の中を診てもらうのが安心です。
夜中にギリギリという音を聞くと、歯が欠けてしまわないか、どこか具合が悪いのではないかと心配になる保護者の方は少なくありません。以下では、歯ぎしりが起きやすい時期と原因、受診を考えたいサイン、ご家庭での見守り方、歯科医院で調べることを、幼児から中学生までの年齢の違いもふまえて順にお伝えします。
子どもの歯ぎしりの多くは成長の途中で起きる一時的なもので年齢とともに減っていきます
乳歯が生えそろってから永久歯に生えかわるまでの子どもは、あごが発達して大きくなり、歯の位置も毎年のように変わるため、寝ている間に歯をこすり合わせる動きが出やすくなります。当院のご案内でも、乳歯から永久歯に変わる時期のお子さんに歯ぎしりはよくみられることをお伝えしています。夜中の音が大きいと長く続くのではと不安になりますが、子どもの歯ぎしりは成長の過程で出る現象で、極端に歯が削れていなければ、まずは時期を追って見ていけば足ります。
同じ歯ぎしりでも、乳歯だけの時期と、前歯や奥歯が生えかわっている時期とでは、起きる背景や見ておきたいところが変わります(表1)。大人の歯ぎしりは長期間続くことで歯や顎関節に負担をかけますが、子どもでは時期によって出たり減ったりするので、今どの時期にいるかを頭に置いて、歯の削れ方や朝の様子を見てください。
| 時期 | 歯ぎしりの見え方 | 保護者の方が見ておきたいこと |
|---|---|---|
| 乳歯が生えそろうころ〜就学前 | 上下の歯が当たるようになり、寝ている間にカチカチ、ギリギリと音がすることがある | 乳歯の先が平らに削れていないか、朝に歯やあごを痛がらないか |
| 前歯や奥歯が生えかわる小学生の時期 | 乳歯が抜けて永久歯が生える途中で、かみ合わせの位置が変わり、歯ぎしりが増えたり減ったりする | 生えてきた永久歯の表面がすり減っていないか、かみ合わせのずれがないか |
| 永久歯がそろう中学生以降 | 受験や部活動などの緊張が重なると、歯ぎしりやかみしめが強く出ることがある | 朝のあごの疲れ、歯がしみる、口を開けにくいといった症状がないか |
歯ぎしりの原因はかみ合わせの調整と気持ちの緊張と眠りの状態に分けて考えます
子どもの歯ぎしりは、生えかわりに合わせてかみ合わせを整える動きや、気持ちが満たされないストレスが関係していることがあります。上下の歯がまだ落ち着いてかみ合っていない時期には、寝ている間に合う位置を探すように歯をこすり、園や学校での我慢が続いた時期には、その緊張が眠っている間に出ることがあります。鼻づまりで口呼吸になり、眠りが浅いときに目立つケースもあるので、毎日の食事や睡眠の様子もあわせて見てください。
歯ぎしりには、上下の歯をこすり合わせてギリギリと音が出る種類、カチカチと歯を打ち鳴らす種類、音を立てずに強くかみしめる種類があり、子どもでは音の出るものに保護者の方が気づいて相談されることが多くなります。入園や進級、きょうだいが生まれた、習い事が増えたといった環境の変化があった時期に歯ぎしりが目立ちはじめた場合は、気持ちの緊張が関係しているかもしれません。寝る直前までスマートフォンやタブレットで遊んで興奮したまま布団に入る生活が続いているときも、眠りが浅くなりやすい傾向があります。表2の右の列に当てはまることがないか、ふだんの生活を思い出してみてください。
| 考えられる要因 | どんな仕組みか | 家で気づけること |
|---|---|---|
| かみ合わせの調整 | 歯の生えかわりやあごの成長でかみ合わせの位置が変わり、上下の歯をこすって合う位置を探す | 前歯や奥歯が抜けて新しい歯が生えてきているなど、お口の中の変化があった時期かどうか |
| 気持ちの緊張やストレス | 園や学校、家族の環境の変化で緊張が続くと、眠っている間に歯ぎしりとして出ることがある | 生活の変化、寝つきの悪さ、夜中に目を覚ます回数 |
| 眠りの状態や呼吸 | 鼻づまりやアレルギーで口呼吸になっていると、眠りが浅くなりやすい | いびき、口を開けて寝ている、朝起きにくい |
| 生活習慣 | 寝る直前の画面や遊びで興奮していると、寝入りばなの眠りが落ち着きにくい | 寝る前にスマートフォンやゲームを使っている時間 |
家族に歯ぎしりをする人がいると、子どもも歯ぎしりをしやすいという話を耳にすることがあります。遺伝の影響については分かっていないことも多いため、ご家族の歯ぎしりの有無だけで心配を大きくせず、お子さん本人の歯や眠りの様子を見ることを基本にしてください。
歯のすり減りやあごの痛みや歯並びの問題があるときは歯科に相談する目安です
歯ぎしりそのものは心配のいらないことが多い一方で、歯が過度にすり減っている、あごを痛がる、歯並びに問題がある場合は、様子を見るだけにせず歯科医院に相談するのが目安です。日本小児歯科学会も、こうした症状があるときは小児歯科の専門医に相談するよう勧めています。歯の表面が摩耗して象牙質という内側の層が見えてくると、知覚過敏のように冷たいものがしみたり、かんだときに痛みが出たりすることがあります。すり減りが進んでいるかどうかは家では分かりにくいので、気になったら歯科でお口の中を見てもらい、対処が要るかを判断してもらってください。
おうちでできるチェック:当てはまるものがあれば歯科で相談を
- 歯の先が平らになっている、欠けている、表面の色が黄色っぽく変わって見える
- 冷たい飲み物や歯みがきの水を「しみる」と言う
- 朝起きたときにあごや頬が疲れる、口を大きく開けにくいと言う
- 上下の前歯のかみ合わせが逆になっている、片側だけでかんでいるなど、歯並びやかみ合わせが気になる
- 大きないびきをかく、口を開けたまま寝ている、寝ている間に呼吸が止まるように見える
いびきが大きく、寝ている間に呼吸が止まっているように見えるときは、睡眠時無呼吸症候群と診断されることもあり、歯科より先に小児科や耳鼻科などの医療機関で相談したほうがよい場合があります。歯ぎしりの音だけが気になり、ほかに当てはまるものがなければ、慌てて受診する必要はなく、次の定期検診で歯のすり減りを見てもらう形でも十分です。
家では歯ぎしりを止めようとせずに寝る前の過ごし方を整えて1〜2週間記録します
歯ぎしりは眠っている間に無意識に起きるので、音がしたときに起こしたり、口を押さえてやめさせようとしたりする必要はありません。途中で起こすと眠りが浅くなり、かえって翌日の機嫌や体調に響くこともあります。家庭でできる対策として、就寝までの時間を落ち着いて過ごせるように整えて睡眠時間を確保し、歯ぎしりがいつ、どのくらい出ているかを記録して、歯科で相談するときの材料にしてください。
- 夕食:硬めの食材も取り入れて、よくかんで食べます。食べるときは足の裏を床や台につけて座ります
- 寝る少し前:スマートフォンやタブレット、激しい遊びは早めに切り上げ、お風呂や絵本などリラックスできる時間に切り替えます
- 歯みがき:仕上げ磨きのついでに、歯の先が平らになっていないか、欠けていないかを見ておきます
- 寝る前:その日にあったことを少し話して、気持ちが落ち着いてから部屋を暗くします
- 翌朝:歯ぎしりが発生した時間とおおよその頻度、いびきや口を開けて寝ていたか、あごの痛みがないかをメモします
図1 歯ぎしりが気になる時期の夕方から翌朝までの過ごし方の例
図1の流れを1〜2週間続けてメモを見返すと、運動会の前の週だけ多かった、鼻がつまっていた日に多かったなど、歯ぎしりが出やすい条件が見えてくることがあります。スマートフォンの録音機能で寝ている間の音を数分だけ残しておくと、受診したときに音の大きさや長さを歯科医師に具体的に伝えられます。記録は毎晩完ぺきに取らなくてよく、気づいた日の分だけでも役に立ちます。

歯科では歯のすり減りとかみ合わせとお口の機能を診て経過を見るか対応するかを決めます
歯科医院では、歯のすり減り方やかみ合わせに加えて、口呼吸や舌の使い方といったお口の機能も見たうえで、経過を見るか、対応を始めるかを決めます。日本小児歯科学会が、過度なすり減りやあごの痛みが無ければそのまま様子を見てよいとしているように、乳歯や生えかわりの時期の歯ぎしりは特別な処置が不要なことも多く、定期検診で変化を追う形になります。当院でも歯ぎしりのご相談を受けており、お口の中を拝見したうえで、口がぽかんと開きやすい、いびきがあるといった様子があれば、お口の機能のチェックもご案内します。
- お話を聞く:いつごろから歯ぎしりが気になるか、記録やメモ、いびきや寝相のことを伝えます
- お口の中を見る:歯の削れ方や欠け、むし歯の有無、歯並びに異常がないかを診てもらいます
- お口の機能を調べる:必要に応じて、唇を閉じる力や呼吸、飲み込みの状態を調べます
- 進め方を決める:経過観察にするか、トレーニングや歯並びの相談、耳鼻科などとの連携が要るかを、保護者の方と話し合って決めます
図2 歯科で歯ぎしりを相談したときの一般的な流れ
当院では図2の3番目の検査に、りっぷるくんという機器を使い、唇を閉じる力をデジタルの数値で見ることができます。口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれる舌や唇の筋肉のトレーニングが必要な場合は、ご家庭で続けられる方法をお伝えします。当院では、こうしたトレーニングに加えて、食事の仕方や姿勢のアドバイスも行い、歯並びが乱れる原因を減らす予防にも取り組んでいます。鼻づまりが強いなど、耳や鼻の病気が疑われるときは、必要に応じて耳鼻科や言語聴覚士などと連携します。嫌がったり怖がったりしているお子さんに無理やり処置をすることはないので、歯医者が苦手なお子さんは、そのことを予約のときにお伝えください。
中学生以降の強い歯ぎしりやかみしめは歯のひびや顎関節の痛みにつながることがあります
永久歯がそろった中学生や高校生では、受験や部活動の強いストレスがかかる時期に、寝ている間の歯ぎしりやかみしめが強く出て、歯にひびが入ったり、あごの関節に痛みが出たりすることがあります。日本小児歯科学会のQ&Aでも、むし歯がなかった受験生の奥歯に、歯ぎしりやかみしめでひびが入り、神経の治療が必要になった例が紹介されています。永久歯は生えかわらないため、乳歯の時期よりも、すり減りや欠けによる悪影響が長く残るリスクがあり、受験などの時期は特に注意して様子を見てください。
| 本人が言うこと・見えること | 関係していることがある状態 | 歯科でできること |
|---|---|---|
| 朝起きるとあごが痛い、頬が疲れている | 寝ている間の強い歯ぎしりやかみしめ | 歯のすり減りやかみ合わせを診て、歯ぎしりから歯を守るマウスピースを作るかどうかを検討する |
| 口を開けるとあごの関節が鳴る、大きく開けられない | 顎関節症(かみ合わせ、頬づえなどの姿勢、日常的なくいしばり、精神的な緊張などが重なって起きるとされる) | 原因を診断し、症状に合わせた対応をご相談する |
| むし歯がないのに奥歯がしみる、かむと痛い | 歯ぎしりやかみしめによる歯のひび | レントゲンなどで歯の状態を調べ、必要な処置を行う |
表3のような症状がある場合は、ナイトガードと呼ばれる、歯ぎしりから歯を守るマウスピースを夜間に装着する方法がとられることがあります。ナイトガードは歯ぎしりそのものをなくす効果を期待して使う装置ではなく、歯にかかる力を受け止めて、すり減りやひびから歯を守る役割があります。使用するかどうかは、歯の状態を診たうえで歯科医師と相談して決めます。日中に勉強しながら歯を食いしばっているのに気づいたら、肩や顔の力を抜くよう声をかけ、それでも続くときや、あごの痛みが長引くときは早めに受診してください。
よくあるご質問
矯正装置を使い始めてから歯ぎしりが増えました
矯正装置を使い始めたばかりのころは、装置の違和感から歯ぎしりが増えることがあります。慣れてくると減っていくことが多いので、しばらく経過を見てください。装置が壊れてしまったときは、次の通院を待たずにご相談ください。
園や学校の歯科健診で歯のすり減りを指摘されました
健診の結果を受け取ったタイミングで用紙をお持ちいただければ、指摘された歯を中心にお口の中を拝見し、すり減りの程度とかみ合わせをお伝えします。健診で問題なしと言われた場合でも、生えかわりの時期はお口の中が変わりやすいので、歯科医院での定期的な健診を続けることをおすすめします。
歯ぎしりの相談だけで受診してもよいですか
歯ぎしりの音が気になるというご相談だけでも受診いただけます。初診は長くて1時間ほどです。歯ぎしりのほかに、むし歯や歯みがきのことで気になっていることがあれば、そのときにあわせてお聞きください。お電話かWEB予約で、歯ぎしりの相談であることをお伝えください。
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お子さんのお口のこと、まずはご相談ください
治療をするかどうかは、お話を聞いてから一緒に決めます。診察台に座らなくても大丈夫です。
このページは、お子さんのお口の育ちについて一般的な情報をご紹介するものです。お口の状態や育ちには個人差があり、書かれていることがすべてのお子さんに当てはまるわけではありません。気になる点がありましたら、歯科医師にご相談ください。
オーク歯科クリニック(北海道釧路市昭和中央4丁目18-1 イオンモール釧路昭和店1F)


