妊娠中の歯医者は安定期の5〜7か月に|受診前に伝えておくこと
妊娠中でも歯医者には行けますし、むし歯や歯ぐきの治療をまとめて受けるなら、体調が落ち着きやすい妊娠5〜7か月ごろの安定期が向いています。妊娠初期と後期は応急処置が中心になりますが、痛みや腫れがあるときは時期を待たずに受診して構いません。母子健康手帳でも、妊娠中は歯科健診や受診でお口の環境を整え、治療が必要なら安定期(概ね4〜8か月)に受けるようすすめています。
出産を終えると、授乳や夜中のお世話でご自身の通院はどうしても後回しになりがちです。妊娠期間中は歯ぐきが腫れやすく、つわりで歯みがきの時間が短くなる方も多いので、痛みが出ていなくても出産前に一度お口の状態を診てもらうと、産後の予定まで見通しを立てやすくなります。
妊娠中の歯科治療は安定期の5〜7か月ごろが受けやすく初期と後期は応急処置が中心です
妊娠5〜7か月のいわゆる安定期には体調が落ち着いてくるため、当院ではほとんどの歯科治療を行えるこの時期に、必要な治療を進めるようご提案しています。おなかが大きくなる前に必要な治療を終えられるよう、お母さんの体への影響に配慮して治療計画をお伝えします。妊娠がわかったら一度受診して、安定期のうちに終える治療を決めておくと予定を立てやすくなります。
妊娠4か月までの初期はホルモンバランスが急に変わり、つわりで体調がすぐれない日も多いため、当院では患者さんの体調が思わしくないときに無理な治療をおすすめせず、どうしても必要な処置も応急処置程度にとどめます。妊娠8か月以降の後期は、仰向けの姿勢でおなかが圧迫されて母体の負担が大きくなるので、こちらも痛みや腫れを抑える処置までとし、本格的な治療は出産を終えてから進めます。表1のように時期ごとの違いを知っておくと、出産予定日から逆算して予約を入れられます。
| 時期 | お母さんの体の状態 | 歯科でできること | 予約の考え方 |
|---|---|---|---|
| 妊娠初期(4か月まで) | ホルモンの変化とつわりで体調が変わりやすい時期 | お口の状態の確認と、痛みや腫れを抑える応急処置 | 痛みがあれば受診し、治療の予定は安定期に組みます |
| 妊娠中期(5〜7か月) | 体調が安定してくる時期 | 通常の歯科治療のほとんど | むし歯や歯周病の治療をこの時期にまとめて進めます |
| 妊娠後期(8か月以降) | おなかが大きくなり、仰向けでおなかが圧迫されやすい時期 | 応急処置程度 | 本格的な治療は出産後に回します |
| 出産後 | 授乳や夜間のお世話で通院の時間を取りにくい時期 | 本格的な治療と定期検診 | 赤ちゃんを連れて来院できます |
安定期の目安の幅は資料によって少し違いますが、つわりが落ち着いておなかがまだ大きくない時期という点は同じなので、ご自身の体調と産婦人科の主治医の話をもとに受診のタイミングを決めてください。
妊娠中はホルモンの変化とつわりで歯ぐきの腫れやむし歯が起きやすくなります
妊娠中は女性ホルモンのバランスが大きく変わり、つわりで丁寧な歯みがきも難しくなるため、歯周病やむし歯ができたり進んだりしやすくなります。食生活も変わりやすく、つわりで食欲が低下して食べられるものが偏ったり、空腹で気分が悪くなるのを避けようと少しずつ何度も食事をとったりする方も多く、お口に食べ物が残っている時間が長いほど、むし歯の原因になる細菌が働く時間も長くなり、むし歯のリスクは高まります。歯ぐきから血が出ても痛みがないと放置しがちで、そのあいだに炎症が進行することもあるので、変化に気づいたら早めに歯科で診てもらってください。
歯ぐきが赤く腫れて歯みがきのときに出血する場合は、妊娠性歯肉炎と診断されることがあります。歯と歯ぐきの境目にこぶのような腫れができる妊娠性エプーリスは、妊娠初期から中期に現れ、出産後には多くが自然に治まりますが、気になるときは遠慮なくご相談ください。妊娠中に起きやすいお口のトラブルと、気づくきっかけになるサインは表2のとおりです。
| トラブル | 起きやすいきっかけ | 気づくサイン | 歯科での対応 |
|---|---|---|---|
| 妊娠性歯肉炎 | ホルモンの変化と、歯と歯ぐきの境目の汚れ | 歯ぐきの腫れ、歯みがきのときの出血 | 歯石の除去とクリーニング、みがき方の確認 |
| 妊娠性エプーリス | 妊娠初期から中期のホルモンの変化 | 歯ぐきにできるこぶのような腫れ | 多くは出産後に治まるため、様子を見ながらご相談 |
| むし歯 | つわりで歯みがきが短くなる、食べる回数の増加 | 冷たいものがしみる、詰め物が取れた | 安定期に治療し、痛みが強いときは応急処置 |
| 歯周病 | 歯肉炎をそのままにしておく | 歯ぐきが下がる、口臭、歯のぐらつき | 歯ぐきの検査と歯石の除去 |
| 親知らずの腫れ | 奥の歯ぐきに汚れがたまる | いちばん奥の歯ぐきの腫れと痛み | 痛みや腫れへの応急処置を行い、抜歯をするかどうかは出産後に相談 |
歯周病は早産や低体重児出産との関連が報告されていて症状がなくても健診を受ける意味があります
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、歯周病が早産や低体重児出産を含むさまざまな全身の病気と関連していると報告されていることが紹介されています。同じページでは、そのなかに根拠がまだ十分でないものもあると添えられていて、両者の関係は歯周病があるから早産になると言い切れる段階ではありません。それでも歯ぐきの炎症は自分では気づきにくく、出産後は通院の時間を取りにくくなるので、妊娠中に一度お口の状態を診てもらってください。
妊婦さんを対象にした歯科健診(妊産婦歯科健康診査)は、母子保健法にもとづいて市町村が妊婦健康診査の一環として行うもので、妊娠に伴う口腔環境の変化で悪化しやすいむし歯や歯周病、歯石の付き方などを調べます。実施しているかどうかや受け方は自治体によって違うため、母子健康手帳を受け取った窓口でもらった案内を見返してみてください。健診で治療が必要とわかったときは、安定期に治療を受けられるよう早めにご予約ください。
おうちでできるチェック:当てはまるものがあれば出産前に一度受診を
- 歯みがきのたびに歯ぐきから血が出る、歯ぐきがむずがゆい
- 冷たい飲み物や甘いものでしみる歯がある
- 詰め物が取れたまま、または治療の途中で通院が止まっている
- 口臭やお口のねばつきが前より気になる
- この1年、歯科で健診や歯のクリーニングを受けていない
レントゲンと麻酔とお薬は妊娠の時期と体調を伺って一つずつ相談して決めます
当院では、レントゲン撮影・麻酔・お薬について、妊娠の時期と体調を伺ったうえで、使うかどうかを一つずつご相談して決めています。歯科のレントゲンは写す範囲がお口のまわりで、おなかの胎児からは離れています。当院で使っているデジタルレントゲンは、従来のものに比べて被ばく量を最大で10分の1まで抑えられる機器です。撮影や麻酔に不安があるときは、処置の前にそのままお聞かせください。
お薬については、母子健康手帳でも、妊娠中や授乳中の薬の使用は医師・歯科医師・薬剤師に相談し、自分の判断で量を変えたりやめたりしないよう書かれています。歯が痛むときに家にある市販の痛み止めを飲む前に、まず歯科か産婦人科にご連絡ください。産婦人科の主治医から出ている薬や、注意するよう言われていることがあれば、受診のときにそのまま伝えていただくと判断がしやすくなります。
| 心配なこと | 知っておきたいこと | 当院での進め方 |
|---|---|---|
| レントゲン | 写す範囲はお口のまわりで、防護用のエプロンを着用して撮影するのが一般的です | デジタルレントゲンを使い、撮るかどうかは時期と体調を伺ってご相談します |
| 麻酔 | 歯科で使うのは、治療する場所だけに効かせる局所麻酔です | 処置の内容と体調を見て、使うかどうかをご相談します |
| お薬 | 妊娠中と授乳中の薬は、医師・歯科医師・薬剤師に相談して使います | 妊娠の時期を伺い、産婦人科で出ている薬も確かめてからご相談します |
| 治療の姿勢 | 後期は仰向けでおなかが圧迫され、気分が悪くなることがあります | 後期は本格的な治療を出産後に回し、つらいときは途中で止められます |
予約のときは妊娠週数とつわりの様子と産婦人科で言われていることを伝えます
予約のときに受付のスタッフへ妊娠中であることと週数、つわりの様子、産婦人科で言われている注意点を伝えておくと、当日の検査や治療の進め方を前もって考えておけます。当院は完全予約制で、急な痛みがあるときもできるだけ事前にお電話をいただくようお願いしています。初診は長くて1時間ほどかかるので、体調のよい時間帯を選んで予約してください。診療室はすべて個室なので、気分が悪くなったときも周囲を気にせず伝えていただけます。
- 予約:妊娠中であること、週数、つわりの有無、痛みがあるかどうかを伝えます
- 問診:妊婦健診で受けている注意や飲んでいる薬、これまでの経過をお話しください
- お口の検査:むし歯や歯ぐきの状態を見て、レントゲンを撮るかどうかはその場で相談します
- 治療の計画:安定期のうちに終えるものと、出産後に回すものを分けて決めます
- 診療中:つらくなったら左手を上げて合図をしてください。いつでも治療を止められます
図1 妊娠中に歯科を受診するときの流れ
口を開けているのがつらいときや気分が悪いときは、我慢しすぎずにそっと左手を上げて合図をしてください。当院では治療中でもいつでも治療を止められるようご説明していて、おなかが大きくなってくる時期ほど、無理をして最後まで受けようとしないことが大切です。

つわりで歯みがきがつらい時期は気分のよい時間にみがいてみがけない日はうがいをします
母子健康手帳でも、つわりの時期はできるだけ気分のよいときに歯みがきをして、みがけないときはうがいを心がけるようすすめています。歯ブラシを口に入れるだけで吐き気がする日に、いつもと同じやり方でみがこうとすると、歯みがきそのものが嫌になってしまいます。一日のなかで比較的楽な時間帯に一回丁寧にみがくことを基本にして、それ以外の食後は水でゆすぐだけにするなど、体調に合わせてできることを続けてください。
| つらいこと | 試したい工夫 |
|---|---|
| 奥に歯ブラシが入ると吐き気がする | ヘッドの小さい歯ブラシに替え、顔を少し下に向けて唾液がのどに流れないようにし、前の歯から順にみがきます |
| 歯磨き粉の味やにおいがつらい | 歯磨き粉の量を減らすか、つらい時期はつけずにみがきます |
| 長く口を開けていられない | 一回で全部みがこうとせず、朝は前歯、夜は奥歯のように分けます |
| 吐いたあと、すぐにみがけない | まず水でうがいをして、気分が落ち着いてからみがきます |
| 食べる回数が増えた | 食後に水やお茶を飲むか、こまめにうがいをして食べかすを流します |
当院でも「つわりで歯みがきができない」「正しい歯みがきを身につけたい」というご相談をお受けしています。体調のよい日に来院していただければ、歯科衛生士が歯みがきの様子を見て、みがき残しのある場所をお伝えします。当院ではお子さんのブラッシング指導と仕上げ磨きのレクチャーも行っているので、出産後は赤ちゃんの歯みがきについても同じように相談できます。
出産後は赤ちゃんと一緒に通えて歯が生える前からお口の相談もできます
当院の診療室はすべて個室でベビーカーごと入れるため、出産後は赤ちゃんを連れて、ご自身の治療の続きや定期検診に来ていただけます。安定期に終えられなかった治療は、産後に体調が戻ってから本格的に進めます。出産前の最後の受診で、産後いつごろ再開するかを決めておくと、忙しい時期でも予定を立て直しやすくなります。
生まれてくる子どものお口のことも、歯が生える前からご相談いただけます。当院の小児歯科では0歳から1歳半のお子さんと保護者の方を対象に、毎月1回、無料の乳児教室を10:30〜11:30に開いていて、歯科衛生士がお口を見ながら、おうちですぐできるケアをお伝えしています。表5のように、産後の予定を出産前に書き出しておくと、ご自身と赤ちゃんの受診をまとめて考えられます。
| いつ | お母さん | 赤ちゃん |
|---|---|---|
| 出産前の最後の受診 | 産後に回す治療と再開の時期を決めます | 乳児教室の日程を確かめておきます |
| 産後、体調が戻ってから | 治療の続きと定期検診を受けます | 乳児教室で歯科衛生士にお口を見てもらい、寝かしつけや離乳食のことも相談できます |
| 最初の歯が生えたころ | 赤ちゃんの受診にあわせて定期検診を受けられます | むし歯予防のための歯みがきの始め方や仕上げ磨きの方法を相談できます |
よくあるご質問
妊娠に気づく前に歯科でレントゲンを撮っていました
歯科のレントゲンは写す範囲がお口のまわりで、おなかからは離れています。それでも気になるときは、撮影した歯科医院で撮った枚数や種類を聞いておき、次の妊婦健診で産婦人科の主治医に伝えてご相談ください。次に歯科を受診するときは、妊娠中であることを予約の時点でお伝えください。
親知らずのまわりが腫れて痛みます
痛みや腫れがあるときは、妊娠の時期にかかわらず早めに受診してください。妊娠中は歯ぐきが腫れやすく、親知らずのまわりに汚れがたまって炎症が起きることがあります。妊娠中は痛みや腫れへの応急処置で様子を見て、抜歯をするかどうかは出産後にあらためてご相談します。
里帰り出産で釧路を離れる予定です
帰省の前の安定期に一度受診していただき、治療を帰省前に終えるか、出産後に戻ってから続けるかを決めておくと安心です。治療の途中で通院が止まると、仮の詰め物が取れたり痛みが出たりすることがあるので、帰省の時期がわかったら予約のときにお知らせください。
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お子さんのお口のこと、まずはご相談ください
治療をするかどうかは、お話を聞いてから一緒に決めます。診察台に座らなくても大丈夫です。
このページは、お子さんのお口の育ちについて一般的な情報をご紹介するものです。お口の状態や育ちには個人差があり、書かれていることがすべてのお子さんに当てはまるわけではありません。気になる点がありましたら、歯科医師にご相談ください。
オーク歯科クリニック(北海道釧路市昭和中央4丁目18-1 イオンモール釧路昭和店1F)


