おやつのむし歯対策は時間と回数から|1日1〜2回の決め方と選び方
おやつでむし歯になるかどうかは、何を食べるかと同じくらい、いつ・何回食べるかで変わります。1〜6歳のおやつは時間を決めて1日1〜2回にし、おにぎりや蒸したさつまいものように砂糖の少ない、食事に近いものを選ぶと、歯が酸にさらされる時間を短くできます。飲み物は水かお茶にして、食べたあとは歯みがきをするか、磨けないときはお茶や水を飲ませるところまでを家の決まりにしておくと、毎日続けやすくなります。
おやつは時間を決めて1日1〜2回にします
1〜6歳のおやつは、食べる時刻を決めて1日1〜2回にすると、むし歯の原因になる糖分を口にする回数をおさえられます。幼児は胃が小さく、3回の食事だけでは必要なエネルギーや栄養をとりきれないため、おやつは食事で足りない分を補う、もう1回の小さな食事として考えます。厚生労働省の研究班がまとめた幼児期の栄養・食生活支援ガイド(2022年)でも、間食を与える場合は時間を決め、回数は1日に1〜2回までとし、欲しがるままに与えるとむし歯や肥満、偏食の原因になりやすいとしています。
同じガイドが引いている厚生労働省の平成27年度乳幼児栄養調査(2〜6歳児の保護者が回答)では、むし歯のない子どもの保護者のほうが「時間を決めてあげることが多い」と答えた割合が高く、むし歯のある子どもの保護者のほうが「欲しがるときにあげることが多い」と答えた割合が高くなっていました。たとえば家で過ごす2〜3歳なら午前10時と午後3時、昼すぎに幼稚園から帰る子なら帰宅してからの午後3時半ごろに1回というように、家の生活に合わせて時刻を決めておきます。時刻が決まっていれば、ほかの時間に欲しがったときも「次は3時に食べようね」と伝えやすくなり、夕ごはんをおなかをすかせて迎えるリズムも作りやすくなります。
日本小児歯科学会は、おやつにはエネルギーの補給や心の満足感を得るという意味もあるとしたうえで、甘いお菓子やジュースはおやつの時間を決めて、だらだら食べないことが大事だと説明しています。当院が食育でお伝えしている食生活のポイントも、甘いものは控えめにすること、だらだら食べないこと、しっかり噛むことの3つで、おやつについては時間を決めて食べるようお話ししています。甘いものを我慢させるより先に、食べる時刻と回数を家族で決めるところから始めてみてください。
だらだら食べると歯が溶ける時間が長くなります
おやつを少しずつ何度も食べると、口の中が酸性に傾いている時間が長くなり、歯の表面が溶けやすい状態が続きます。歯の表面についた歯垢(プラーク)には、ミュータンス菌に代表されるむし歯の原因菌がいて、食べ物や飲み物に含まれる砂糖などの糖分を分解して酸を作ります。歯の表面を覆うエナメル質は、酸性の度合いを表すpHが5.5より低くなると溶けはじめるとされ、カルシウムやリンが歯から抜けていくこの変化を脱灰と呼びます。
唾液には、酸を洗い流して中和し、溶けかけた表面にカルシウムやリンを戻す働きがあり、この修復を再石灰化と呼びます。食事と食事のあいだに唾液が歯を修復する時間があるので、1日3回の食事で糖分をとっても、歯は健康な状態を保ちやすいとされています。ところが、糖分を含む間食を何度もとってpHが下がる回数が増えると、再石灰化が脱灰に追いつかなくなり、歯は少しずつ欠けはじめて、むし歯ができていきます。
回数が増えるとむし歯が増えた調査
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、スウェーデンで1940年代後半から50年代前半に436人を対象に行われた調査が紹介されていて、歯にくっつきやすい菓子(トフィー)を食事のときだけ食べた時期より、食事と間食に分けて回数を増やした時期のほうが、むし歯が増えていました。同じページでは、むし歯を防ぐには砂糖の摂取量と食べる回数の両方を減らすことが大事で、どちらか一方にこだわらず、家庭の生活に合わせて取り組むのがよいとしています。
量を控えることとあわせて、ご家庭では食べる回数と、1回ごとの区切りを見直してみてください。袋のお菓子をテレビを見ながら長時間つまむ、ジュースを入れたマグを手の届く所に置いておく、といった食べ方は、1回の量が少なくても歯が酸にさらされる時間を長くします。食べる分を小皿に出し、食べ終わったら器と袋を片づけるようにすると、1回のおやつに区切りがついて、食べる機会が自然に減っていきます。
くっつくおやつとなめるおやつに注意します
砂糖が多く歯にくっつくものや、口の中に長く入っているものは、むし歯になりやすいおやつです。キャラメルやグミのように粘りのあるものは歯の溝や歯と歯のあいだに残りやすく、あめやキャンディのようになめて食べるものは、口の中で糖分が出続ける時間が長くなります。チョコレートやケーキのように砂糖を多く使うお菓子も、量と回数が増えるとむし歯のリスクが高まるので、次の表を目安に食べ方を工夫してください。
| おやつ | むし歯になりやすい理由 | 食べるときの工夫 |
|---|---|---|
| キャラメル・グミ・ソフトキャンディ | 歯にくっついて糖分が残りやすい | 回数を決め、食べたあとは歯みがきをする |
| あめ・棒つきのキャンディ | なめているあいだ糖分が出続ける | 長い時間口に入れたままにしない |
| チョコレート・クッキー・ケーキ | 砂糖が多く、量が増えやすい | 食べる分だけ器に出す |
| ドライフルーツ | 粘りがあり、歯の溝に残りやすい | 少量にして、食べたあとにお茶か水を飲む |
| アイスクリーム・プリン・加糖のゼリー | 砂糖を多く使っていて、1回の量が増えやすい | おやつの時間に1回分だけにする |
| ジュース・乳酸菌飲料・スポーツドリンク | 糖分を含み、だらだら飲みになりやすい | ふだんの飲み物は水かお茶にする |
せんべいやスナック菓子は甘くないおやつですが、歯の溝や歯と歯のあいだにはさまって残りやすいので、甘いお菓子と同じように時間を決めて食べます。市販のお菓子の選び方としては、袋の裏の原材料を見る習慣をつけておくと便利です。原材料は使われている量の多い順に書かれているので、最初のほうに砂糖や水あめが並んでいるお菓子は砂糖を多く含むものと考えて、おやつの日を決めて楽しむようにしてください。
おやつはおにぎりやいもを中心にします
むし歯になりにくいおやつは、おにぎりや蒸したさつまいものように砂糖が少なく、食事に近いものです。当院でも、おやつはできるだけ砂糖の少ないものを選び、おにぎりのような食事に近いものにすると必要な栄養を補えるとお伝えしていて、食育のお話では蒸したさつまいもなどの野菜もおすすめのおやつに挙げています。先ほどのガイドも、果物や野菜、牛乳・乳製品、穀類、いも、豆類など、食事でとりきれない栄養を補えるものを選ぶよう書いています。
| おやつ | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| おにぎり | 食事に近く、エネルギーを補える | 具は塩けの少ないものにする |
| 蒸したさつまいも・じゃがいも | 自然な甘みがあり、食物繊維も豊富 | 食べやすい大きさに切って出す |
| ゆで野菜のスティック | よく噛んで食べる練習になる | 年齢に合ったかたさにゆでる |
| チーズ・無糖のヨーグルト | カルシウムをとれる | ヨーグルトは砂糖の入っていないものを選ぶ |
| 果物 | ビタミンをとれる | 果物にも糖分があるので量と時間を決める |
| 牛乳 | カルシウムをとれる | 夜は歯みがきの前に飲ませる |

砂糖の少ないおやつの中でも、ナッツや豆は年齢に注意が要ります。ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類、枝豆などの豆類は子どもが丸のみしてのどに詰まらせやすいので、こども家庭庁は5歳以下の子どもには食べさせないよう呼びかけています。ブドウやミニトマトのように丸くてつるっとした果物や野菜も4等分に切ってから出すよう案内されているので、むし歯になりにくいかどうかに加えて、年齢に合った大きさとかたさかどうかも見て選んでください。
キシリトールのお菓子は表示を見て選びます
キシリトールは糖アルコールという甘味料の一種で、むし歯の原因菌が酸を作る材料にならないため、キシリトールを使ったガムやタブレットはむし歯になりにくいおやつとされています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、よく噛んで食べるガムは唾液の分泌を促進して再石灰化を助けるとしていて、むし歯になりにくいことを表示した特定保健用食品(トクホ)や、「歯に信頼マーク」の付いた食品は、歯の表面のpHを下げないことが実験で示されているとしています。キシリトールが配合されていても予防の効果は商品によって違うので、選ぶときはこうした表示を手がかりにします。
日本小児歯科学会は、キシリトールのほかに砂糖などの甘味料も入っている商品があるので成分表示を見て選ぶこと、食べ過ぎるとおなかがゆるくなりやすいことを挙げています。また、甘い味に慣れて素材の味を覚えにくくなるおそれもあるとして、子どもに使うときは小児歯科で相談するようすすめています。キシリトールのお菓子を毎日のおやつの中心にする前に、定期検診のときにお子さんの年齢や歯の状態に合うかどうかをお尋ねください。
飲み物は水かお茶にします
おやつのときに出す飲み物は、水か麦茶などの甘くないお茶にします。当院でも、とりわけ食事中にとる飲み物には水やお茶をおすすめしています。ジュースや乳酸菌飲料などの甘い飲み物は糖分を多く含み、マグやストローボトルで少しずつ飲んでいると、お菓子をだらだら食べたときと同じように、歯が酸に触れている時間が長くなってしまいます。
スポーツドリンクなどのイオン飲料には、とくに注意してください。日本小児歯科学会によると、イオン飲料は糖分を含むうえにpHが3.6〜4.6と低く、飲み物そのものがエナメル質の溶けはじめる酸性の強さになっているので、口の中に残り続けるとむし歯の原因になり、酸で歯が溶ける酸蝕症の原因にもなります。学会は、激しい運動や大量に汗をかいたとき以外は水を与え、イオン飲料を水の代わりにしないこと、お風呂上がりや寝る前、夜中にのどが渇いたときも水にすることをすすめています。
野菜ジュースは体によい飲み物として選ばれることが多いのですが、日本小児歯科学会は、糖質を含む商品もあるので飲み方によってはむし歯になることがあり、飲み過ぎやだらだら飲みは避けるよう説明しています。野菜は飲むより噛んで食べるほうが食感も楽しめるので、ジュースにしていた分の一部を、ゆで野菜や果物のおやつに置きかえてみてください。のどが渇いたときに水やお茶を飲む習慣が小さいうちについていると、小学生になって自分で飲み物を買うようになってからも続けやすくなります。
おやつのあとは歯みがきで糖分を落とします
おやつを食べたあとは歯みがきをして、外出先などで磨けないときはお茶か水を飲ませて、口の中に残った糖分を流します。日本小児歯科学会も、食べたあとは歯みがきをし、できなければお茶か水を飲ませることでもむし歯を予防できると説明しています。毎回歯ブラシを持つのが難しい日もあるので、家にいる日は歯みがき、出かける日は水筒のお茶、と場面ごとに決めておくと、食後のケアが途切れにくくなります。
おやつのあとの歯みがきには、フッ素の入った歯みがき剤を年齢に合った量で使います。当院では3歳ごろのお子さんに、医院でのフッ素塗布やシーラントと並行して、食事やおやつのあとはフッ素配合の歯みがき剤でみがく習慣をつけるようお伝えしていて、年齢ごとの量はフッ素入り歯磨き粉の量と歯科での塗布の目安の記事でご紹介しています。夜は寝る前の歯みがきで1日の汚れを落とすので、そのあとは水以外を口にしないようにしてください。
おやつの習慣を見直すチェック
- おやつの時刻がだいたい決まっている
- 袋ごと渡さず、食べる分を器に出している
- ジュースやスポーツドリンクを入れたマグやペットボトルを持ち歩いていない
- 夜、歯をみがいてからは水以外を口にしていない
当てはまらない項目があれば、その1つから変えてみてください。当院では食事や生活習慣についてのアドバイスも行っているので、定期検診のときにふだんのおやつの時間や内容をお聞かせいただければ、お子さんの歯の状態とあわせてご家庭でできる工夫をお伝えします。
よくあるご質問
寝る前に牛乳を飲ませてもいいですか
寝る前の歯みがきのあとは、牛乳も控えて水だけにしてください。牛乳に含まれる乳糖もむし歯の原因菌が酸を作る材料になる糖で、寝ているあいだは唾液の量が減って酸を洗い流しにくくなります。牛乳を飲ませたいときは夕食やおやつの時間に出して、そのあとに歯みがきをする順番にします。
祖父母の家や園でおやつをもらうときはどうすればいいですか
園のおやつは時間と内容が決まっていることが多いので、家ではその分を考えて、おやつの回数を増やさないようにします。祖父母の家で甘いものをもらう日は、時間を決めて1回で食べ、食べたあとにお茶か水を飲ませるところまでをお願いしておくと、毎回断らなくても済みます。
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お子さんのお口のこと、まずはご相談ください
治療をするかどうかは、お話を聞いてから一緒に決めます。診察台に座らなくても大丈夫です。
このページは、お子さんのお口の育ちについて一般的な情報をご紹介するものです。お口の状態や育ちには個人差があり、書かれていることがすべてのお子さんに当てはまるわけではありません。気になる点がありましたら、歯科医師にご相談ください。
オーク歯科クリニック(北海道釧路市昭和中央4丁目18-1 イオンモール釧路昭和店1F)


