赤ちゃんの歯磨きはいつから?最初の1本から始める手順と道具の選び方
赤ちゃんの歯磨きは、最初の乳歯が歯ぐきから顔を出したときに始めます。多くの赤ちゃんは生後6〜9か月ごろに下の前歯から生えてくるので、この時期に始めることが多いですが、1本目が出てくる時期には個人差があるため、月齢よりも「歯が見えたかどうか」を開始の目安にしてください。歯が生える前は歯ブラシを使わず、清潔な指やガーゼで口の中にさわられることに慣れておくと、歯が出てきてからの練習がスムーズに進みます。
歯が出てきたら、最初はガーゼで拭き、慣れてきたら歯ブラシで1本ずつ磨く形へ少しずつ進めます。初めての歯磨きは保護者の方も不安になりやすいものですが、当院では、赤ちゃんの歯磨きの進め方や仕上げ磨きの仕方を、受診のときにお伝えしています。
赤ちゃんの歯磨きは最初の乳歯が見えたときから始めます
歯磨きを始めるタイミングは、下の前歯の先が白く見えてきたときで、生後6〜9か月ごろにその日を迎える赤ちゃんが多いです。日本小児歯科学会も、乳歯が生え始めたら歯磨きの習慣づけを始めるようにすすめています。歯は生えたあとに唾液の中のカルシウムを取り込んで硬さを増していくので、生えたての時期に汚れがついたままだと、むし歯ができやすい状態が続きます。1本しか生えていない時期から毎日ふれて汚れを落としておくと、奥歯が生えてくるころに慌てずにすみます。
1本目が出てくる時期は子どもによって違い、1歳の誕生日を過ぎてから最初の歯が見えてくる子もいます。生後半年をすぎたころから、授乳のついでに歯ぐきをときどき見ておくと、1本目に気づきやすくなります。1本目が見えたら、その日から歯磨きを始めてください。歯が生えていない時期は、次の章で紹介するお口にさわる練習を続けておくだけで、歯磨きの準備になります。表1は、歯の生え方に合わせたケアの進め方の目安です。
| 歯の様子 | 主に使うもの | ケアの中心 |
|---|---|---|
| 歯が生える前 | 清潔な指・ガーゼ | 唇や歯ぐきにふれて、口にさわられることに慣らす |
| 下の前歯が見えてきた | ガーゼ・綿棒 | 授乳や離乳食のあとに歯の表面を拭く |
| 上下の前歯がそろってきた | 乳児用歯ブラシ | 歯ブラシで軽くふれる練習から、1本ずつ磨くことへ移る |
| 奥歯が生えてきた(1歳半ごろ) | 乳児用歯ブラシ・仕上げ用歯ブラシ | 保護者の方の仕上げ磨きで、奥歯のかむ面と歯と歯の間を磨く |
歯が生える前は指とガーゼで口にさわられることに慣れておきます
歯がまだない時期の準備は、授乳のあとや機嫌のよいときに、保護者の方が指やガーゼで唇と歯ぐきにやさしくふれることです。赤ちゃんの口の中は敏感で、急に物が入ると驚いてしまいますが、毎日少しずつふれていると、口をさわられることが当たり前の感覚になっていきます。抱っこや遊びのついでに唇のまわりを指でなでるくらいから始めれば、親子のスキンシップとしても続けやすいはずです。
上唇の裏側は、赤ちゃんがとくにさわられるのを嫌がる場所なので、最初は唇の外側からふれて、慣れてきたら少しずつ内側へ指を進めてください。ガーゼを使うときは、ぬるま湯で湿らせて人差し指に巻き、デリケートな歯ぐきをなでるように拭きます。ガーゼは清潔なものを使い、力を入れずにやさしくふれてください。
歯が生える前に、おうちで試してみたいこと
- 授乳のあとに上唇をそっとめくり、ミルクのかすが残っていないか見てみる
- ぬるま湯で湿らせたガーゼを指に巻き、歯ぐきを前から奥へなでる
- 嫌がったらその日はやめて、翌日にまた唇の外側から始める
当院では、0歳から1歳半までのお子さんと保護者の方を対象に、無料の乳児教室(毎月1回・10:30〜11:30・毎月5組まで)を開いています。指やガーゼでふれる練習で迷ったことがあれば、教室の中で歯科衛生士にその場で聞いていただけます。
歯ブラシへの切りかえはガーゼから始めて3つの段階で進めます
歯が生えてきたら、ガーゼや綿棒で拭くことから始め、慣れてきたら乳児用歯ブラシで歯にちょんちょんと当て、最後に1本ずつ磨く形へ移行していきます。最初から歯ブラシを動かして磨こうとすると、毛先の感触に驚いて歯磨きそのものを嫌がるようになることがあるためです。たとえば下の前歯が2本だけの時期なら、ガーゼで表と裏を拭けば汚れは落とせるので、歯ブラシは口に入れて慣れる道具として使用すれば足ります。図1の3つの段階は、赤ちゃんの様子を見ながら行ったり来たりしてかまいません。
- ガーゼや綿棒で拭く:歯が見え始めたら、授乳や離乳食のあとに歯の表と裏をやさしく拭きます
- 歯ブラシを軽く当てる:乳児用歯ブラシで歯に1〜2回ふれるだけにして、歯ブラシの感触に慣れてもらいます
- 1本ずつ磨く:歯を見ながら1本につき数秒ずつ、小さく動かして磨きます。長く続けるより、短くても毎日続けることを優先します
図1 ガーゼから歯ブラシへ移るときの3つの段階
離乳食をスプーンで食べるようになり、上下の前歯がそろってくると、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目に食べかすがたまりやすくなり、ガーゼだけではきれいにしきれない範囲が出てきます。2歳ごろまでは、上の前歯の歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目がむし歯になりやすい場所だとされているので、このころまでに歯ブラシで磨く段階に進めておくと安心です。どの段階でも、磨き終わったら「上手にできたね」と声をかけて、歯磨きを楽しい時間として終えるようにしてください。
歯ブラシは赤ちゃんが持つ1本と保護者の方の仕上げ用1本を分けて用意します
赤ちゃんの歯ブラシは、赤ちゃんが自分で握って遊ぶ用と、保護者の方が磨くための仕上げ用の2本に分けておくと、どちらの目的にも合ったものを選べます。赤ちゃんに持たせた歯ブラシはかんで毛先がすぐに開いてしまうので、仕上げ用と兼ねると汚れを落とす力が落ちてしまいます。日本小児歯科学会も、かんでしまう子には子ども用と仕上げ用を分け、だめになったら新しいものに交換するようすすめています。売り場で迷ったときは、表2を選び方の基準にしてください。
| 道具 | 選び方の目安 | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| ガーゼ・綿棒 | 清潔で、指に巻きやすい柔らかいもの | 使うたびに新しいものにする |
| 赤ちゃんが持つ歯ブラシ | 小さく、握りやすいもの。お気に入りの色やキャラクターで選んでもよい | 座って使い、歩き回らせない。かんで毛先が開いたら交換する |
| 仕上げ用歯ブラシ | ヘッドが小さく(歯2本分ほどの幅)、毛先が丸く加工されたもの。柄は保護者の方が持ちやすい長め | ペンを持つように軽く握り、力を入れすぎない |
| フッ素入り歯磨き粉 | 歯が生えてから2歳ごろまでは、フッ素濃度1,000ppm(日本の製品では900〜1,000ppm)のもの | 米粒程度のごく少量にし、子どもの手の届かない場所にしまう |
赤ちゃんが自分で歯ブラシを持つときに気をつけたいのが、歯ブラシをくわえたまま転んで、のどを突いてしまう事故です。歩行の発達がまだ未熟な時期は、安全のために、歯ブラシを持つのは座っているときだけという約束をして、使っている間は保護者の方がそばで見ていてください。もしのどや口の中を突いてしまい、意識がはっきりしない、吐く、血が止まらないといった様子があるときは、歯科より先に救急や小児科を受診してください。
歯磨き粉は、歯が生えた時期からフッ素入りのものを使えます。米粒程度という量は、日本小児歯科学会などの4学会が推奨している目安です。うがいができない赤ちゃんは、磨き終わりに口のまわりと歯をガーゼでさっと拭えば足ります。年齢ごとの量や歯科でのフッ素塗布については、子どものフッ素の記事でくわしくご紹介しています。
回数は機嫌のよいときの1回から始め、慣れたら寝る前の仕上げ磨きを欠かさない習慣にします
歯ブラシに慣れることが目的の最初の時期は、赤ちゃんの機嫌がよく、保護者の方に余裕のある時間帯に1日1回から始めます。眠いときや空腹のときに始めると泣いてしまい、歯磨きが嫌な時間として覚えられてしまうことがあります。たとえば午前中の授乳のあとや、お風呂上がりで機嫌のよいときなど、親子が落ち着いて向き合える時間を、生活リズムの中に決めておくと続けやすくなります。慣れてきたら、離乳食のあとにも少しずつ回数を増やし、毎食後に磨く習慣へ近づけていきます。
回数を増やすときに一番に考えたいのが、就寝前の歯磨きです。寝ている間は唾液の量が減って、口の中の汚れを洗い流す働きが弱くなるため、むし歯の原因になる菌が増えやすくなります。日中に磨けない日があっても、寝る前の1回だけは保護者の方が仕上げ磨きをするようにすると、歯に汚れがついたまま長い時間を過ごすことを防げます。
1歳を過ぎたら気をつけたい夜の授乳
1歳を過ぎて砂糖の入った食べ物を口にするようになると、母乳を飲みながら眠り、口の中に母乳が長く残る状態がむし歯のリスクを高めるとされています。授乳を続けている時期は、甘い飲み物やお菓子をなるべく減らし、夜の仕上げ磨きとフッ素入り歯磨き粉で、むし歯のリスクを下げていきましょう。卒乳の時期は、お子さんの様子を見ながら決めていきましょう。
嫌がるときは上唇のすじを指で守り、頭を支えて短い時間で終えます
赤ちゃんが歯磨きを嫌がるときは、上唇の内側にあるすじ(上唇小帯)に歯ブラシが当たっていないか、磨く力加減が強すぎないかを最初に見直してください。上唇小帯は上の前歯のすぐ近くまで伸びていることが多く、ここに毛先が当たると痛みがあるため、赤ちゃんは歯ブラシそのものを嫌がるようになります。保護者の方の人差し指で上唇をめくってすじを押さえ、すじをよけながら1本ずつ磨くのが、痛がらせないコツです。上唇小帯は、一般的にはあごの成長とともに歯から離れて上のほうへ移っていきます。表3に、嫌がる理由として多いものと、その対応を並べました。
| 嫌がる理由 | 見直し方 |
|---|---|
| 上唇のすじに毛先が当たって痛い | 人差し指で上唇をめくってすじを押さえ、すじをよけて磨く |
| 磨く力が強い、時間が長い | ペンを持つように軽く握り、1本数秒ずつで切り上げる |
| 口を開けたままで唾液が喉にたまり、苦しい | ときどき歯ブラシを口から出し、唾液を飲み込む間を作る |
| 頭が動いて怖い、歯ブラシで口の中を傷つける | 保護者の方のひざに頭をのせ、頭を支えて動かないようにする |
| 眠い、おなかがすいている | 機嫌のよい時間にずらす |
仕上げ磨きの姿勢は、保護者の方のひざの上に赤ちゃんの頭をのせて、あお向けに寝かせる形が基本です。ママとパパのどちらが磨く場合も、この姿勢だと口の中が上から見えるので、上の前歯の裏側や奥歯まで確かめながら磨けます。磨く順番を決めておくと磨き残しが減りますが、毎回同じ順番だと最後のほうが雑になりやすいので、ときどき順番を逆にしてみるのもよい方法です。保護者の方が先に自分の歯を磨いて見せたり、歌をうたいながら磨いたりすると、赤ちゃんの気持ちがほぐれやすくなります。

それでも泣いてしまう日は、ガーゼで拭くだけにして、短い時間で終わらせてもかまいません。毎回泣かせながら長く磨くと、親子ともに歯磨きの時間がつらくなってしまいます。上手にできた日はたくさんほめて、歯磨きを嫌なことと感じない気持ちを少しずつ育てていってください。
歯科では普段の磨き方を見てから仕上げ磨きのやり方をお伝えします
当院の歯磨きの指導では、お子さんの普段の歯磨きの様子を拝見し、磨き残しや歯ブラシの動かし方をチェックしたうえで、保護者の方に仕上げ磨きの方法をお伝えします。歯が生えはじめた0歳の赤ちゃんの場合は、歯ブラシの当て方やフッ素塗布に加えて、離乳食のことや、むし歯や歯周病の菌が大人から感染しないようにする工夫もお話しします。おうちで磨きにくい場所や、嫌がって進まない場面など、歯磨きのお悩みや疑問があれば、受診のときにそのままお話しください。医院でのケアとご家庭での口腔ケアを組み合わせて、乳歯の健康を守るお手伝いをしています。
生えたばかりの歯にフッ素を塗ると効果的だといわれていて、当院で行うフッ素塗布には保険が適用されます。ただし、お子さんの状態によっては保険の対象とならないことがあるので、費用が気になるときはご予約の際にお尋ねください。お子さんの場合、定期的にチェックすることがむし歯の早期発見にもつながるので、歯が生えそろうまでの間も定期検診で様子を見ていきます。
歯磨きのときに見つけたら、早めに歯科で相談したいこと
- 上の前歯に、磨いても取れない白い線や斑点がある(むし歯のなりかけのことがあります)
- 1歳3か月を過ぎても、1本目の歯が見えてこない
- どの工夫をしても嫌がりが強く、歯磨きが続けられない
歯科医院に初めて行く時期の目安や、初めての受診の流れは、赤ちゃんの歯医者デビューの記事でご案内しています。ご予約は、この記事の下のお電話かWEB予約から受け付けています。
よくあるご質問
赤ちゃんが歯ブラシをかんでしまい、すぐにだめになります
かんで傷めてしまう時期は長く続かないので、毛先が開いたら新しい歯ブラシに交換してください。赤ちゃんが持つ歯ブラシと仕上げ用の歯ブラシを分けておくと、仕上げ用は傷みにくくなります。
8か月の子の歯に、もうむし歯ができることはありますか
ふつうは8か月でむし歯になることは少なく、できている場合は、哺乳びんでイオン飲料などを飲む習慣のようなはっきりした原因があると考えられています。気になる色や形の変化があれば、かかりつけの歯科医院にご相談ください。
仕上げ磨きはいつまで続ければいいですか
自分で歯ブラシを持てるようになってからも、仕上げ磨きは続けます。当院では、小学校に上がる6歳以降も仕上げ磨きを続けることをおすすめしていて、その後のやめどきの目安は仕上げ磨きの記事でご紹介しています。
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お子さんのお口のこと、まずはご相談ください
治療をするかどうかは、お話を聞いてから一緒に決めます。診察台に座らなくても大丈夫です。
このページは、お子さんのお口の育ちについて一般的な情報をご紹介するものです。お口の状態や育ちには個人差があり、書かれていることがすべてのお子さんに当てはまるわけではありません。気になる点がありましたら、歯科医師にご相談ください。
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